思い込みのひとつに、「被害者意識」というものがあります。みなさんは被害者意識を感じたことはおありでしょうか? 被害者意識というのは、自分は被害者だと思いたい意識のことです。もっと言えば、自分は犠牲者だというパフォーマンスです。 いえ、決して特別な意識ではありません。私も感じるときあります。

例えば、交通事故。自分の車が停車中に相手の車に追突されたとき、されたほうは明らかに被害者です。この時、被害者は単に被害にあった当事者であって、そこに被害者意識という言葉は存在しません。 被害者意識が生まれてくるのは、交通事故で相手に追突されたんだけど、自分も居眠りしてたとか脇き見してたとかという、自分にも落ち度があったんじゃないかと思うような罪悪があるときに、「自分は悪くない!」と正当化させたくなってしまう気持ちになることです。

さて、対人関係において被害者意識が持ち上がるとき、たいがい「勝ち負け」の思考がついていると思います。 被害者意識とは、どうしても勝てない相手、どうしても通じない相手に自分の悔しさ・怒りなどを昇華仕切れず、負けてないと言い聞かせるために持ち出される気持ち、嫉妬。 自分の能力不足や戦略の誤りを認めず、弱者として振舞うことで見たくない真実から目を背けようとする意識。 相手に非を認めさせようとすることで、自分の劣等感を埋めようとする意識のことです。

ですから、被害者意識の強い人の心の中には、頑固な幼児性が絡む、歪んだ怒りが渦巻いていることでしょう。 でも、全ては優劣意識、劣等意識の裏側で、どうしようもなく不安で仕方なく、その更に奥底にある寂しさと甘えたい気持ち、そういうものに触れられ、愛されたいのでしょうね。 被害者意識の強い人は、自分の権利の主張に余念がありません。しかしながら、「戦わずに」です。 だって、戦っても負けちゃいますから。

だから、いつまでたってもひとり相撲、それができるのも、そうしてなくては「何にも出来ない自分」が、露呈してしまうからなんでしょう。 ということで、その路線にいる限り、自分の人権の回復、尊厳の回復は無理でしょうね。 被害者という意識を持っているのが、他でもない自分そのものだからですよ。