※こちらも参考にしてください:AC アダルトチルドレン(こころの図書館)
AC(アダルトチルドレン)とは
ACとは機能不全家庭(※1)で育てられたことにより影響を受けた子供の総称です。親がアル中だったり暴君だったりするばかりでなく、過保護・過干渉、いえ、ごく普通に見える親の中からでも作られます。
その状態とは、その親や境遇から影響されたであろう思考や判断により、本来の自分の言動が抑え込まれ、結果、自分に不自然で不一致な状態となり、成人しても内因的なトラウマを抱えている人たちのことを指します。
具体的には、自己否定や漠然とした不安、人に対する恐怖、自分に対する自信のなさ、極端な完璧主義や自暴自棄など、自分でもどうしたらいいか分からないほど厄介なもので、こういったパターン・状態を理解するためのカテゴリーとしてACという概念が生まれました。
(※1)…機能不全家庭とは、親のエゴに支配された関係性を、あたかも家族だと見なし「家族ごっこ」「親子ごっこ」を無自覚にも継続している家庭のことです。エゴの支配の上に成り立つ関係に、心の通い合う結びつきはありません。そこには、家庭という閉ざされた箱の中で危うく窒息しそうな子供の姿が見えます。
インナーチャイルドとは
愛着というトラウマのインナーチャイルド
ACを知るとき、殆どの場合、インナーチャイルドという言葉も同時に知ることになるでしょう。インナーチャイルドとは、子供時代における記憶や感情のことです。ですから過去の回想作業が進めば、少なからずインナーチャイルドの出現があり、その気持ちに触れ、涙のこぼれることはあるでしょう。
それは、再体験によって思い出したこと、その時に感じ切れなかった悲しみや怒り、また愛しさなどの気持ちですが、インナーチャイルドの多くは愛着というトラウマを抱えていることが多いです。愛着というのは、愛すればこそ、または愛されたいからこそ生まれた言動のことで、そのトラウマは、その奥で置いてきぼりになってしまった気持ちとでも言いましょうか。ですからACの解決として、インナーチャイルドを癒していくことが必要なのでしょうね。
インナーチャイルドを癒すには
「傷付いている自分」と「したたかな自分」の相互理解が大事
インナーチャイルドの癒しは、自己回復のためにとても意義のある作業です。この癒しの作業に成功すると、かなりの自己肯定感が増え、それまで自己否定しかなかった日々に比べれば、どんなにか楽になられるでしょう。
しかしインナーチャイルドの持つ愛着のトラウマには、傷ついている自分と、したたかな自分の2つの感情があります。それは、支配の基で我慢を強いられ傷ついてきた想いと、その環境下に適合し、より自分を有利に楽でいられるよう必死だった自分の想い、その両方の自分を心から理解していくことが大事です。
共依存の克服・脱却
自立の裏側にある共依存
ACを知る上で避けては通れないものに「共依存」があります。自分の承認を求めて親や誰かに依存し、またその相手も共に依存の関係にあるというものです。共依存の関係はとても厄介ですが、そもそもは、愛着のトラウマを持っている人が、その満たされない愛情を他者に求めるというのはある意味シンプルな行為です。
自分に尊厳を与えられなかった人は、自立することができにくく、いつでも誰かに寄りかかり相手に求め続けます。しかしそういうもの同士だからこその結びつきは強く、そして離れられない。でもその結果生まれるものは、残念ながら、愛ではなく憎しみです。
先ずは自分が共依存に陥っていることに気づき、共依存のカラクリを理解し、「今の自分はしあわせか?」と問いただしていきましょう。
ACの克服・脱却
ACの寵児となってはいけない
ACの概念に辿り付いた時、多くの人はその発見に落ち着かれます。得体の知れない苦しみに名前があった安堵感です。ACの記述は書籍を初め、ネット界でもその存在は広く認知されていることで、大きく外れずに理解しやすいからです。
しかしACに当てはまる人々は、自分の言動に親の影響を強く受けてこられています。それがACを知り、インナーチャイルドの目覚めにより、親からの脱却を狙おうとする傾向があります。そして今度はACの寵児となりやすい。つまり、親信仰の強い人ほど「AC」の信者になりやすく、今度はACに執着してその教義に振り回され、大事な自分の本質から離れていきがちなのです。
自分がACだと知ると、その克服・脱却を目指そうとしてしまう。自分=AC になり、ACだから○○、ACだから△△というように自分そのものから離れて、AC的な部分を治そうとし始めます。
例えば、「ACは承認欲求が強い」…というところから、承認欲求がなくなればACでなくなり自分も楽になると思い込んでしまう。しかし実際にはその克服に終始してしまい、一向に楽にはならない。何故なら、承認欲求は人間の持つ大事な欲求であり、それをなくす=AC脱却=苦しみからの解放とはならないのです。
承認欲求が満たされるのは大事なことですが、承認欲求をなくす必要はないのです。全てはACだから…ではなく、自分だから…なのです。
マザーアースでのACに対する扱い方
ACの理解の向こうに
ACの原因が親やその境遇にあるということに囚われすぎて、親(境遇)=悪 のような構図になってしまうケースが多くあります。ダメ親、毒親には変わりないのですが、大事な本質を見逃さない対話が必要です。親や境遇はサブ要因です。ACに固執し過ぎ大事な本質を見逃してしまわないようにすることが肝心です。
マザーアースではACの解決を、「親がそうだったから」「自分がACだったから」という原因と結果の理解だけではなく、さらにその奥もっと深い領域の「自分だったからこの生き方しかなかった」と自然に感じていただけることを解決としています。そう実感できてはじめて「自分ていいな」と思えるからです。
人間はひとりで生きていかなくていいのです。助け合い、甘え合う、その両方が必要なんです。それを頭の片隅に入れ、承認欲求をなくそうとしたり、共依存から脱却することだけに囚われないでください。自分は甘えん坊、弱虫、びびり…いいじゃありませんか。その個性を変える必要などないのですよ。
ACに酔わず、ACをきちんと理解し、ACを一歩離れたとき、自分の本質の理解が待っているのですから。